苦況の中で、「古典」の言葉を
お久しぶりです。
ブログは2、3ヶ月ぶりでしょうか…。
皆さま、日々どうお過ごしでしょうか。
*
私は、前々からこのブログで
日々の読書法について話そうと思っていました。
しかし
時間が経つにつれて、
様々な本を読むにつれて、
自分のこれまでの読書に迷いが生まれ、
それを考え直す日々が続き、
コロナウイルスの騒動が起こり…などと
心の落ち着かない状態にもありました。
*
そこで先日、
テレビをぼんやりと観ていた時のことでした。
ある言葉が、自分の中に入ってきたのです。
それは芸能人の美輪明宏さんが
視聴者から寄せられる質問に答えてゆく
お悩み相談といったものでした。
質問の内容としては、
日々の生活にロマンがない、
ネガティヴなことばかり頭に浮かんでしまう、
といった悩みです。
たしかに、
今は辛いことばかりが身の回りに溢れています。
テレビを点けてもコロナ、
ラジオを聴いてもコロナ、
SNSを開いてもコロナ、
毎日、気分の滅入る話題ばかり蔓延しています。
それはもう、
人々の「負」の感情を生み出す温床が
ウイルスの拡大と共に
日々着々と広がってきているのでは…
とも思えてきます。
*
自分の中へ入ってきた言葉。
それは
美輪さんが寄せられてきた悩みに対し、
ただ「感情」に振り回されている、
と指摘する一言でした。
そして、
こんな時にこそ、
「古典」を読んだら良い。
動乱の時を乗り越えてきた
先人の言葉に触れ、
「感情」の暴走を抑え
心を落ち着なさい。
その言葉を聞いていて、
自分は今まで何のために
読書をしてきたのだろうか、
と改めて感じました。
このような不測の事態に
心を乱し、感情にただ流され、
日々漫然と過ごしてしまう。
毎日やってくる「負」のニュースに
ただ反応し、ただ不安な気持ちになってしまう。
そんな「負」の連鎖を断ち切り、
自分の心を不必要にかき乱さないためにも、
「古典」というものを読み、
ものを考え、自制心を養うということが
大切なのではないかと思いました。
*
「古典」に触れる中で、
自分の印象に残った言葉を
繰り返し読んだり、
また、その言葉を自分の中へ引き受けてみて
考え方を少し変えるだけでも、
肩の力は抜けていくかもしれません。
そこで今、
私は中国の古典である
洪自誠の『菜根譚』という本を読んでいます。
福は
徼 むべからず。
喜神 を養 いて、以って福を召くの本 と為 さんのみ。
禍 は避 くべからず。
殺機 を去 のぞきて禍 を遠ざくるの方と為 さんのみ。〔訳文〕
幸福はことさらに求めようとしても求め得られるものではない。
ただ楽しみ喜ぶ心を養い育てることが、
幸福を招き寄せる根本の条件になるだけである。
災禍は人の思うように避けようとしても避けられるものではない。
殺気立った心のはたらきを取り去ることが、
災禍を遠ざける唯一の方法となるだけである。
己の心の喜ぶことは、何か。
それは人によって違うと思いますが、
その喜びを大切にし、
身の回りの人へと
さらなる喜びを伝播させることができたなら。
「災禍」は少しでも遠ざかってゆく。
そう信じながら、
心の支えとなる「古典」の言葉と
日々の生活を共にするのも
悪くないなと感じています。